小学校受験の試験内容<ペーパー>

小学校受験の試験内容には学校によって様々なものがあり、私立、国立問わず、全く準備せずに合格する子供は稀有です。反対にどんなに用意周到であっても、合格をもらうのはなかなか難しい小学校受験。
小学校受験の試験内容を詳しく理解し、適切な対策を講じることが合格に近づく第一歩です。

まずは、多くの小学校が考査内容で出題している「ペーパー」。
所謂「お勉強」に一番近い内容ですが、小学校受験は、小学校の先取り学習とは違い、数字もひらがなも書くことはありません。
ここでは、恐らく利用率ナンバー1であるこぐま会の「ひとりでとっくん」の教材の単元でその内容をご紹介します。

■未計量

シーソー、つりあいの問題が頻出の単元です。
「左にりんごが1つ、右にみかんが2つで釣り合っているシーソーがあり、この場合、左にりんごを一つ増やすとみかんは右にあと何個乗せると釣り合いますか?」
こういう内容が基礎中の基礎の内容となり、高度になってくると、大人も「??」と一瞬考え込むような内容も出題される場合がある単元であるため、苦手とする子供も多いようです。
その他、同じ量の水を大きさの違うコップに入れ、高さが変わる場合、水の量自体は変わりませんが、見た目の高さが変わってしまうため、5歳児にはどうしても高さが高いコップの水の方が量が多いと勘違いしてしまうことが多く、これに関する問題もよく出ます。
ひたすら、実験で確かめることが大切です。

■位置表象

左右の理解、それに基づく地図上での移動や、同じ立体を多方面から見た場合どのように見えるかなどを答えさせる単元です。
地図も、自分が見ている方向と同じ方向に向いていれば左右の理解とともに簡単に移動できますが、横を向いていたり、向かい合う方向から移動する場合など、移動する本人になりきいてかんがえなければならず、これも最後まで苦手とする子供も多くいます。
また、更に難易度が高い小学校だと、三角形、四角形の中に様々な印が並んでおり、それが何回か回転した場合、それぞれの印がどう位置しているかなどを書かせる学校もあります。
最初からすぐに正答できる子供は少なく、苦手意識を持ってやりたくないと思ってしまう前に繰り返し繰り返し考えさせる機会を与えることが必要な問題です。

■数

所謂、数のやりとりの問題です。増減から始まり、掛け算、割り算の概念も出題されますが、小学生のように九九の暗記のではなく、未就学児がイメージし易い文章題で出題されます。
例えば、「13個のみかんを3人で仲良くわけたら1人何個になりますか。その数だけ赤で◯を書き、余る場合はその数だけ青で△を書きましょう。」
このような問題が出題されます。割り算の概念が理解できている子であれば、問題なく正答が出せる問題ですが、小学校受験の難しさはこの問題を「暗記」しなければいけないことです。
小学校以上のテストなどはテスト用紙に問題が書いてあるので、問題を読みながら解くことができますが、小学校受験は問題は全て「読み上げ」のため、この場合は「13個のみかんを3人でわける/1人の個数→赤で◯/余りの個数→青で△」ということを瞬時で暗記し、正答を記載しなければいけません。
せっかく数が正解していても色や記号が間違っていると点はもらえません。
この練習がもっとも必要な単元がこの「数」になります。
上記の問題はかなり難易度が低い部類に入り、もっと暗記内容が多いものになると大人でも正答できないような問題も出てきますので要注意です。

■図形

得意、不得意の差が大きく出るのがこの「図形」であり、特に男の子は得意とし、女の子は苦手意識を持つ子が多いようです。
図形を分割したり、統合したりは、幼い頃に遊んだ「パズル」のようなものですが、男の子はそれに親しむことが多いこともあり楽しく解いていくようですが、展開図や回転図形のようなイメージ力が必要なものになると、男女問わず苦手な子が多くなってきます。
机上のペーパーだけでなく、実際にサイコロの展開図を作成したり、図形を回転させイメージ力を鍛えていくのが一番の力になります。
この単元には「図形模写」や「点図形」のように、考えるというより「手先の巧緻性」を確認する内容も含まれます。特に女子校では、この「巧緻性、丁寧さ」に配分が高い場合が多いため、女子校志望者は、年少、年中のうちに「図形模写」「点図形」はクリアしておくほうが良いでしょう。

■言語

言語で一番大切なのが「お話の記憶」です。これは近年どの小学校も出題しているもので、長いものだと1000文字以上のお話が読まれ、そこに登場してきた人物や動物についてや話の内容を問う問題が出題されます。
これは一朝一夕で正解率が上がるものではないため、年少、年中のうちは特にお母さんの「絵本」の読み聞かせ+最後に内容を確認する、といったやり取りが後の「お話の記憶」の得点に繋がります。
頭の中でお話を映像にできるようになると覚えやすいです。
続いて頻出なのは「しりとり」です。これはそもそものものの名前を覚えることに加え、反射的にしりとりで繋げられるかどうかが肝になってくるため、小学校受験で頻出の単語は早めに暗記しておきましょう。

■推理

推理の単元の中で頻出は「魔法の箱」(マジックボックスと呼ばれることも)と呼ばれるものです。1+□=3 □に入るのは?(□が魔法の箱、マジックボックス)が基本ですが、逆算しなければならない高度な領域になります。この場合は引き算ですが、割り算の概念を理解していないとできない内容も出てくるため、数の増減、やりとりのぶんやがマスターしたら進んでよいでしょう。
また、「観覧車」と呼ばれるものも割りと出ます。これは、遊園地の観覧車や、回転テーブルを用いて、◯回回ったら、うさぎはどこに行きますか、うさぎの前には何のたべものがきますか、などの問題になります。

■常識

この分野はひたすら「暗記」につきます。特に「季節」に関しては、季節に纏わる食べ物や植物、行事を日々の中で家族ぐるみで体験していくのが一番定着します。また、その取組みは私立小学校での面接でよく聞かれる「家族での過ごし方」でも堂々と主張できる立派な関わりになるため、ぜひ早いうちから家族で取り組みたいものです。
季節の常識は、上記の「お話の記憶」の中でもよく出題されます。
また、理科的常識、日常での常識(交通ルールや挨拶など)は女子校でよく出題されているようです。

大まかにご紹介しましたが、こぐまのひとりでとっくんシリーズは細分化されていますが、全部で100冊にもなります。(1冊30ページ)中には1回でも十分な内容もありますが、最低2回は繰り返し、他の教材も並行して進めるのが平均的なペーパーの枚数のようですので、これだけでも小学校受験の大変さがわかると思います。