小学校受験の試験内容<運動・体操>

小学校受験は、中学、高校受験のように勉強の能力を測る試験だけではなく、運動・体操の考査がある学校もあります。
ペーパーは、もちろんあまりにも態度が悪い児童は論外ですが、やはり主に、ペーパーの「出来」が点数化されます。
ですが小学校受験における運動・体操は、その出来のみがそのまま点数化されるわけではありません。
そのため、小学校受験のために高度な体操教室で跳び箱や鉄棒などに力を入れるなどは、願う結果を得ることができないかもしれません。
ここでは小学校受験の運動・体操の考査がどのような点を見ているか、その対策はどうすべきかをご紹介します。

【小学校受験における運動・体操で見られているのは…】

運動・体操の考査は全校ではありません。ただ特に共学校ではその割合が高く、女子校でも運動・体操と行動観察が一緒になったような簡単に体を動かすような考査があり、小学校入試の対策で、この運動・体操を全くせずに挑むのはとても危険です。
難関私立小学校である慶應幼稚舎、早稲田実業初等部でも運動考査はあり、その配点も高いですが、これは決して「運動神経」「運動能力」をそのまま点数化しているわけではありません。
では、この考査で何を見ているのでしょうか。

運動・体操には必ず「指示」があります。◯◯では笛が鳴ったら△回前転→□□では、ここで◇◇回跳ぶ→◎◎では●●回ボール突きをする…などを一度に覚えて実行しなければいけません。
まずはこの指示を「きちんと聞けているか」「周りに惑わされず指示通りに行動できるか」という点を見られます。
また、何かトラブルがあった時や失敗した時に切り替えて再度チャレンジできるかどうか、その対応も見られています。
もちろん、幼児が平均的にできるような運動があまりにも能力的に劣っていたり、遅かったりとなると、「この子は外で遊ぶ機会が少ないのか」など子供らしさに欠ける点で減点対象になることもあると思いますが、走る、跳ぶ、蹴る、投げる…などがある程度クリアしていれば敢えて上を目指す必要はないでしょう。

小学校受験における運動・体操で良い結果を残すためには下記のつ4の力が大切と考えます。

・一度に指示が聞け、覚えられる「集中力」
・周りに惑わされず、行動できる「自信」
・予定外のことが起きた時にも適切な行動ができる「対応力」
・(行動観察も含むものであれば)周りとの「コミュニケーション力」

【小学校受験における運動・体操の対策】

①体操教室・教室の講座を受講

小学校受験のための体操教室、教室・塾の講座では、学校別の過去問題や学校側が見ているポイントなどを重点的に指導してくれます。
本番同様、マットや平均台を使った指示行動ができ、これらはなかなか自宅では対応できないため通うことのメリットは多いにあります。
ここでも、前転をより綺麗に飛べるか、早く平均台を落ちずに渡れるか、という点ではなく、「笛が鳴ってから前転をするという指示が守れているか」「指示したスタートラインからはみ出ていないか」「平均台から落ちてしまっても、再度チャレンジしようとしているか」などを見られます。
加えて指示、話を聞く態度などを正してもらえるのも、受験全体へのメリットでしょう。

②友達との遊び

受験期間中は、どうしても教室や塾通いと自宅学習の往復で幼稚園のお友達との遊びなどが疎かになってしまいがちですが、実はこの「お友達との遊び」が受験中は重要な対策になり、そしてあまり気づかれていない点でもあります。
4、5歳になると、これまで単体で遊んでいたものが、複数で遊び、コミュニケーションを取りながら遊ぶことをし始めます。
そこで自分の子供がどのように周りとコミュニケーションを取っているか、どのような言葉がけをしているか、グループの中でどのような役割を担っているか、そういったものがよく見えます。そこで、具体的に「あの時は◯◯ちゃんにはこうして挙げたらよかったね」「△△君は、どんな気持ちだったと思う?」という会話を母親とすることで、コミュニケーションのとり方というものを学んでいきます。
小学校受験の運動・体操では、それに絡めた行動観察も見られることが多いので、出来る限り遊ぶ時間も確保し、更にそれを受験にも活かせるようにできると良いでしょう。

③家でのお手伝い

運動・体操では、1度に複数の指示をし、即座に覚えることを要求されることが多いです。最初はなかなか複数のことを覚えるのができないお子様が多いでしょう。しかし、これも訓練で1つから2つ、2つから3つと覚えてその通りに行動できるようになっていきます。
これの訓練で良いのは家のお手伝いです。「まず●●をした後に△△をして、その後に□□をして…」というようにお手伝いを複数指示し、それをその通りにできるかどうかを確認するのです。
次第に高度な内容にしていくのが良いでしょう。

④家庭での反復練習

頻出内容を家庭で反復練習することも大切です。
運動・体操の中には「模倣体操」というのが多く出題され、これに1番良いのが「ラジオ体操」です。テレビでのラジオ体操を見ながら、同じように真似をする、という行動が模倣体操の練習になります。
ラジオ体操を毎日行うことは、健康管理、早起き、習慣という点で面接などでのアピールにもなりますので、是非取り入れてみましょう。
また、バランスを取る姿勢をさせることも多く、片足で10秒立つ、時間を少しずつ伸ばしてみる…などは家でも簡単に反復できます。
筑波、早稲田で頻出の「くま歩き」もリビングでできますね。